「マイティ・ソー」の新作「バトルロイヤル」を観てきました。予告編ではアクション&大騒ぎだけの映画かと思っていたのですが、厳しい英米の映画評論家たちからも評価が高く、観てみたらこれがとんでもなく面白かったのです…!!!
*中ほどから、あらすじに関するネタバレがあるのでご注意ください!
今までのソーとは違う、エンターテイメントに特化した映画
映画「マイティ・ソー」の原作は、北欧神話をベースに描かれたマーベル・コミックです。それをベースにした1作目は、トール(ソーは英語読み)という神々の中でも最強の雷神と、イタズラ好きな義兄弟・ロキとの戦いを描く作品でした。
異世界人(神様ですが、普通に異星人ではないかと思えます…)のヒーローが、なぜか現代アメリカを舞台にして地球を守ろうとする人々と共に戦うという、ある意味ハリウッド定番の、非常に真っ当なスーパーヒーロー映画です。ソーと美人なアメリカ人のジェーン(ナタリー・ポートマン)のロマンスもお約束の展開でした。やや定型的でシリアスなスタイルであったのも、監督がシェイクスピア俳優として知られるイギリス人のケネス・ブラナーであったことを考えると、なんとなくうなずけます。
3作目である今回の「マイティ・ソー バトルロイヤル」の原題は’Thor Ragnarok’(ソー・ラグナロク)です。ラグナロクは「神々の黄昏」とも訳され、予言された神々の没落=ソーの故郷アスガルドの滅亡を意味します。そんなシリアスなタイトルと内容なのですが、実際は過去のソーシリーズやアベンジャーズのパロディが散りばめられ、ファンなら大爆笑するシーンが満載です。もちろん、主役を食う人気者・ロキも、ソーと丁々発止のやり取りを繰り広げながら大活躍します。
この役者同士のケミストリーを感じさせる、息の合ったシーンの数々は、監督に新しく起用したタイカ・ワイティティによる発案でアドリブを多く入れたことによって実現しました。ハルクがベッドに座ってソーとおしゃべりするシーンなんて、この映画以外ありえません。破天荒な監督と自由奔放な役者さんたちの作り上げたこの映画の魅力のベースは、下記の4つに要約されるのではないでしょうか。
- ストーリーの根幹は定番の「悪者との対決」
- 適度な「お約束シーン」が散りばめられている
- 過去作のパロディで笑えるが、会話の内容はシンプルで、初めて観た人でも面白い
- もちろん、戦闘シーンはしびれるかっこよさ…!
プラス、劇中でソーが髪の毛を切られて、今時の人っぽい雰囲気になるのも見どころです。なんとなく「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」系のカジュアルなヒーローものに近い身近な感じを醸し出しています。ちなみにロキの髪はそのまま、ハリポタのスネイプ先生風を保っているので、ロキファンの方は安心してください(!?)。
「マイティ・ソー バトルロイヤル」の見どころ【ネタバレあり】
舞台はどこ?
「マイティ・ソー バトルロイヤル」のメインの舞台は惑星サカールという辺境の地とアスガルドです。地球もちょっぴり出てきますが、ソーとジェーンは別れたらしく、今回は出てきません。でも、前半にソーが「ジェーンに捨てられた」と言われ、「捨てられたんじゃない、こっちが捨てたんだ!いや、お互い捨てあったのかな?」と言い訳をモゴモゴしているのが可愛いです。
神々の王・オーディンの最後が…
ソーとロキのお父さんは、アンソニー・ホプキンス演じる神々の王オーディンですが、前作ではロキにその座を乗っ取られたらしいシーンで終わっていました。ご老体(神様なのに…)だけにその身が案じられましたが、その行先も今回わかります。なんと、ロキによってアメリカの老人ホームに入れられていたのです…!彼の最後は「一介のアメリカの老人」という出で立ちで、神様としてこれで良いのか…!?と、笑うべきか悲しむべきか分からない微妙な感想が残りました…(´・ω・`;)。
浅野忠信も登場!
また、ソーの仲間のホーガン役・浅野忠信もちょっと出てきます。前作ではほとんど出てこず、もうお役御免かと思っていましたが、今回は短いもののしっかりセリフ付きで、悪役のケイト・ブランシェットと対峙するかっこいいシーンをこなしています。
しかし、相変わらず「これ、日本人である必要あるの??」という感想が抜けません…。北欧神話がベースの話なのに、現代ハリウッドの事情からか黒人やら東洋人やら色々混ざっているのが何とも不思議なソーの世界。ソー役のクリス・ヘムズワースも北欧のイメージじゃないですしね(オーストラリア人です)。
女戦士ヴァルキリーに注目!
今回、新しく登場したヒロインがヴァルキリーです。過去の戦いで仲間をすべて失ったトラウマから、ゴミ溜めのような星で賞金稼ぎをしていますが、復活してソーやハルクと共闘します。ジェーンとは全く違う戦う女性ヒロインは、今後の作品にも登場すること間違いない注目株です。
このヴァルキリーを演じているのがテッサ・トンプソン。彼女を観ていたら「バイオハザード」や「ガールファイト」の強〜い女性、ミシェル・ロドリゲスを思い出しました。童顔でややぽっちゃりした感じなので若く見えますが、実は34歳とそこそこのキャリアのある女優さんです。「ロッキー」のスピンオフ映画「クリード チャンプを継ぐ男」などに出演歴がある他、シンガーでもあるそうで、これからもマルチに活躍しそうですね。
ロキも大はしゃぎ!?
マイティ・ソーのシリーズで人気を集めた人といえば、ロキことトム・ヒドルストンです。もとはソー役でオーディションを受けたものの、同じイギリス人で面識があったケネス・ブラナー(一作目の監督)からロキ役に抜擢されたとのこと。トムは、名門イートン校とケンブリッジ大学を卒業した上流階級の出身です。その育ちの良い感じといかにもイギリス人という線の細い屈折した感じがロキにぴったりですね。ソー役のクリス・ヘムズワースのワイルドな明るさと好対照です。
そんなトムが演じるロキは、今回も真面目な顔して笑わせてくれます。彼がアベンジャーズでハルクに叩きのめされたシーンは爆笑もので、記憶に残っている人も多いかもしれません。今回はソーが同じ目にあい、それを見たロキが思わず「俺の気持ちがわかったかー!」と叫んで飛び上がって喜ぶところが可愛いです!
また、ソーとの’Get Help’(助けて!)作戦は見逃せません…!↓
新チームの名前は?
美しすぎる悪役・ヘラ(ケイト・ブランシェット)を倒しに行くチームは、ソーとロキ、ヴァルキリー、ハルクです。ハルクは一緒に来る義理はないのですが、ソーがうまいこと言って参加させます。ハルクの時には「ハルクが一番」、人間のブルースの時には「君が一番」とのせるソーの話術はすごいというか、小賢しいというか、やはり彼はただの神様ではありません(^^;)。
そんな彼らがチーム名をつけました。その名も「リベンジャーズ」。リベンジするから…って、そのセンスの無さも、やはり神様とは思えないソーでした。
ソーは地球に来るの?それとも…
「マイティ・ソー バトルロイヤル」にはもちろん、ヒーローものらしい見せ場もあります。ソーが雷とともにアスガルドの人々を助けに飛んでくる姿はもう、これぞ映画!これぞエンターテイメント!と言いたくなるかっこよさです。音楽もかっこいいですよ(誰の曲かわからず、すみません…)。
ラストは、住むところを破壊されたアスガルドの人々とともに「地球にでも行くか!」という感じで終わるのですが、その矢先に不吉な影が…。これが次のアベンジャー作品の前振りということなのでしょうか?早くも次が気になります…!(←まんまとプロダクションの狙いにハマってます・笑)