大事な映画コレクションを失ったダウン症の青年。その時アメリカは?

映画コレクション

カリフォルニア州で2017年7月、大規模な山火事が相次いで発生しました。発生から4日たった7月11日の段階で37の建造物が焼け落ち、そのなかには人が住んでいる家屋も含まれています。なかなか鎮火の目処が立たないため、地域の住民たち数千人が避難生活を強いられる状況になりました。

生まれ育った家に、火が迫って…

家

サクラメントの北、カリフォルニア州ビート郡にあるオロビルという街に住むスティーブとヴィッキー夫妻には、火が迫った家から脱出するのに20分しか猶予がありませんでした。

2人は写真や書類、貴重品、衣類などを慌ててかき集めましたが、一緒に住んでいる34歳の息子・マークの念頭にあったのはただ一つ。彼が何年もかけて集めた、90年代の映画コレクションです。

ダウン症のあるマークのために、お姉さんのダニエルはゴミ袋を2つ掴んで、手当たり次第にDVDを詰めました。しかし時間が足りず、300ほどのコレクションの中からわずかに20枚程度しか持ち出せなかったそうです。

実家は全焼。大事なコレクションも…

この火事で、彼らの家の周辺では住宅約100戸が全焼の憂き目に会いました。マークが生まれ育った家も同様で、中の物もすべて燃えてしまいました。もちろん、持ってこられなかった大事な映画コレクションも1枚残らず灰になってしまったのです。これを聞いたマークは、ショックで泣きだしてしまいました。

「マークは本当に映画を愛していて、あのコレクションは彼の命でした」とダニエルはCBSニュースに語っています。さらに「普段は明るくハッピーな子なのに、彼の辛そうな様子を見て、どうしてもっと持ち出せなかったのかと悔やみました」とも。

そこでダニエルは、Facebookを通して家族や友人に、映画のDVDを寄付してくれないかと訴えました。この投稿は瞬く間に拡散され、1,300ものシェアと200のコメントを集めたのです。

実際の投稿がこちらです↓

あるフェイスブックのユーザーの女性は「うちの地下にDVDが500枚くらい箱に入って置いてあるわ。今夜ちょっと見てみるわね!」とリプライしました。

また他のユーザーはこんなメッセージを。「リトル・マーメイドと、マダガスカル2と、スパイキッズ2がそちらに向かっているよ。ちなみにAmazonから届くからね。」

こんな調子で、24時間後にはダニエルの元に400本もの映画が届くことになりました。ダニエルは早速マークに、アメリカ中の見知らぬ人たちからの親切を伝えます。

「本当!?冗談じゃないよね?」とびっくりしたマークですが、たちまち満面の笑顔になりました。

見知らぬ他人からの親切は止まらない!

みんなの親切により、元のコレクションよりも、もっとたくさんのDVDをコレクションできることになったマーク。家を失った彼の慰めになることは間違いありませんが、親切はこれだけではありませんでした。家を再建する助けにと、お金を寄付してくれる人たちもいたのです。この人たちのおかげで、約10,000ドル(110万円程度)の現金が集まり、彼らの元に届けられることになりました。

「うちの両親は、新たに家を建てるまでに7,8ヶ月はかかると思う。同じ場所に建てたいから」とダニエルは語っています。「これは、結局のところマークの永遠の家になるわけだからね」

参照記事 http://www.cbsnews.com/news/strangers-step-up-after-man-with-down-syndrome-loses-home-movie-collection/

辛い時でも、助けてくれる人がいる。全米の人々の親切に感動

災害で非常なショックを受けた人々には、お金や物資はもちろん、心を慰める品も必要かもしれません。家族の思い出が詰まった家や品物を無くしたマークや家族も、DVDを観るたびに全米の見知らぬ人たちの親切を思い出し、勇気づけられるのではないでしょうか。

彼らと、家を失った地域の人たちが、早く元の生活を取り戻せるようお祈り申し上げます。